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持続可能な開発目標「SDGs」から見る明星学園の障がい者支援

目次

持続可能な開発目標・SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?

2015年9月に開かれた国連サミットで、持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことにより、「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。

SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことで、持続可能でよりよい社会の実現を目指すための世界共通の目標です。

この17のゴールと169のターゲットを元にした国際目標が世界各国で広がる中、日本でも多くの取り組みが実施されています。

SDGsのうちの、10項目目として設定されているのが「不平等」について触れた、誰一人取り残すことなくあらゆる不平等をなくしていく活動です。

「人や国の不平等をなくそう」というゴールに向かって「2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる」ことが、世界共通の目標の一つとして認識されています。

現在、この日本でも生まれた環境や地域などの格差の社会問題によって、不平等がまだ多く取り残されています。

SDGs 10-2における明星学園での取り組み

SDGsの10-2には具体的な取り組みの一つとして、「2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。」と設定されています。

明星学園では、特に障がいを持つ方たちや社会に向けての「不平等をなくす」というアクションの一つとして、生活支援を中心とした活動を積極的に行っています

本来持っている力を発揮していただくための積極的な障がい者雇用

特に当学園で重点をおいていることは、障がい者雇用です。通常の雇用率を超えた雇用を継続して行うことで、働く意思はあるけれど身体の障がいや知的障害があるために就労できず、本来持っている力を発揮できない人たちに対して、雇用の面で不平等をなくす取り組みを行っています。

明星学園では、身体障がいの方と知的障がいの方に同じチームで掃除に取り組んでいただいています。

身体障がいの方は身体は不自由で動かないけれども、汚れている場所を見つけたりどのような順番で掃除をしたら良いかを判断するのは得意です。

反対に、知的障害の方はそれらのことは苦手ですが、身体を自由に動かすことは得意です。このように同じチームになって掃除をすることで、一つの仕事を完了させることができるのです。

それぞれのよい面、得意な部分を引き出して、苦手な部分については環境を変えたりやり方を変えたりしながら支援していくことが、不平等をなくすための行動に繋がっていると考えています。

実際に明星学園に来ていただいていた方からは、掃除という仕事自体は疲れるけど心は辛くないから続けられるというお話を聞くことができました。

まだまだ偏見や理解が得られる場面が少なく、他の職場などで辛い経験をされた方が多い中で、明星学園に来てからは10年以上も勤務していただいている方が多くいらっしゃいます。

近隣の中学校との交流会を通して

明星学園が地域交流として一番強みとしているのは、近隣の中学校との交流会です。

中学校の学校区の境に位置する明星学園では、両隣のそれぞれ600名ほど生徒のいる緑ヶ丘中学校、旭ヶ丘中学校との交流を30年ほど前から継続して行っています。

昨今の状況により大きな規模の交流会は実施できていませんが、通常であれば年に10回程度の交流会を実施しており、そこに両中学校合わせて延べ400人くらいの生徒さんたちが明星学園へ来ていただいていました。

交流会は、自由参加で参加する生徒さんの意思に任せているのですが、実施されるたびに毎回参加するという生徒さんもたくさんいらっしゃいます。県知事賞も受賞したことがあり、地域からの評価も多くいただいています。

引率の先生からは、普段の学校生活でみることの出来ない生徒さんの様子が見られるという嬉しい声や、障がいの重い方々を相手にした時、とても自然な姿で重度の障がいを持つ方たちと向き合っている姿を目にして、その生徒さんの良さに改めて気づかされたという意見もお聞きしました。

実際に参加された生徒さんからは、交流会に参加してこれまでの自分を反省したり、正直にいじめはやめよう、というような感想を書いていただいたりもしました。

普段接することのない重度の障がいを持つ方と、手をつないで交流をする機会はなかなか経験できないことです。
普段の生活で接する機会が極めて少ない重度の障がいを持つ方と手をつないだことは、中学校を卒業した後も、貴重な一つの経験として繋がっていくことと思います。

交流会に参加した経験こそが「不平等をなくす」ための行動の一歩目となること、またそういった経験がないが故にお付き合いの仕方をしらないまま大人になり、結果として差別意識が広まることがないためにも、明星学園はこの交流会を続けていきます。